※ネタバレ有り。閲覧注意です※
二階堂幸短編集 ありがとうって言って
Amazonをウロウロしていたらおすすめされたので購入。
絵柄がとても好みだったので。
結論:めちゃくちゃ良い短編集。作者さんの前提知識無くても楽しめるので是非買って読んでみてほしい。
では、以下感想を。
1話ずつ読んでから感想を書いていくリアルタイム形式にしてみました。
感想
どんな漫画なのかも確認せずに購入しましたが、タイトル通り短編集でした。(そりゃそうだ)
二階堂幸さんという方はご存知なかったのですが、絵がとてもキレイですね・・・。
あと描かれているキャラクターがどれも美しい。すごく見栄えがよい。
この短編集のテーマも、表面的なものだけではなく作者が何を伝えたいのか、というのを考えながら読むのが楽しかったです。
今の社会問題なんかについて、考えさせられるな~、なんて深読みかもしれませんがそう思いながら読み進めました。
あなたの隣にも~鬼~
金子みすゞの詩、「私と小鳥と鈴と」が頭に浮かんできた作品でした。
人はそれぞれが違っていて当たり前。
願わくば、人々がその違いを当たり前だと受け入れてくれる社会になってくれればなぁ、と思いました。
最近のドラマなんかを見るとかなり変わったな、とは思いますが。
なんだか、まだまだ「こういう社会になってきたから、強調して描こう」という制作サイドの意図を感じてしまう自分がいます。
そういう風に考えてしまう自分自身が、違いを”当たり前”だと受け入れられていない証拠でもあるので、なんとも歯がゆいです。
先生が好き
先生が好きになることって、現実だと結構あるのかな・・・?
と思って読んでましたが、扉の担当・上田さんのコメントで「は~、あるんやな~」になった。
にしてもこの子、成人するまでの間もずっと先生のことを好きだったんですね。
先生の家にいた時に描かれているまだ蕾だったのですが、最終ページでは花開いている桜の描写が印象的でした。
あなたの隣にも~人~
一本目(あなたの隣にも~鬼~)とタイトルが対になっていると思ったら、この女の子、一本目に出ていた女の子と同じですね。
一本目では「私だって人とは違うよ」とか言っていましたが、~人~の方を読んでようやく意味が分かった。
実際に見てみなくちゃ違いなんて分からないということが、作品を読むことで実感できるようになっている仕掛けが素晴らしいですね。
しかしこっちは、作者が伝えたいことを明確に読み取るのが少し難しかったです。
台詞としては、「君をみつけてくれたでしょ」「大丈夫だよ」「私を見つけてくれたことだし」あたりでしょうか。
自分のことを見てくれる、存在を認めてくれる相手というのはどこかにいるはず。
ってことを伝えたかったのかなぁ。
あまり深いことを考えずに、キレイなお話として読んだ方が幸せだったのだろうか。
色々と考えることができるから読み応えがある、とも思えますが。
翡翠色の瞳
テーマが隔回でループしている気がする。
1話目と3話目が繋がっていて、2話目と4話目は主題が似ていました。
今回も”禁断の恋”という感じでしたね。
それにしても切ない。
トマトを食べさせてくれる時、茜さんの目が全て枠外ってところがツボだった。
「もう溺れないようにしないとね」のダブルミーニングが・・・。
最後に子ども自体のそうすけを抱きしめていたのは、男としてではなく子どものような対象として愛を注いでもらったことの描写なんでしょうか。
まぁ、でも。
そうすけ自信の独白としても「僕はこの目が好きで」って書いてますから、届かなかった悲恋ってだけで終わったわけではないんでしょう、きっと。
どちらかというと、好きだったけれども、最終的には茜さんから注いでもらった愛情をしっかり受け止めて、その愛情を好きになることができた、って方向性な気がしました。
だとすると”切ない”ってよりも、すごく温かいお話に思えてきた。
Run!
台詞無し、効果音だけの漫画。
キレイな絵がすごく活きてくる、めちゃくちゃ元気が湧いてくる短編でした。
こういうの大好き。
個人的にツボだったのがスニーカー。
多分だけど、女の子のはAIR MAXで男の子のはAJかな。
NIKEのロゴは描かれてなかったけども。
そういうファッション的なところもすごくおしゃれで好きな一本でした。
よっつのドーナッツ
主題は、「情けは人の為ならず」でしょうか。
心温まる良いお話でした。
お母さんが人間なのか狸なのかは分かりませんが(笑)
助けた犬と鳥が助けてくれた時の1ページ見開きのシーンは鳥肌でした。
構図が物凄く好み。
右側とかこれだけ少ない線で美しく描けるの、すごく芸術だよなぁ・・・。
恋のスイングバイ
卒業旅行に一緒に来る関係にしては、彼氏の方がだいぶ初々しかった(笑)
にしても、こんな素敵な旅行風景見せられたら海外旅行行きたくなっちまうよ・・・。(緊急事態宣言真っ只中)
コロナさえ・・・コロナさえなければ・・・。
青星という名前から、少し気になって星の距離について調べたのですが色によって距離が決まっているわけではないんですね。
でも、青い光ほど若い星であり、明るさも強いと。
なんだか、この青星という女の子にぴったりな名前だなぁと思いました。
それにしてもやはりショートの女の子は最高だ。(最後の感想の言葉がこれ)
最後に
めちゃくちゃオススメの短編集でした。
オススメするまでもなく売れてるだろ、これ。
こんだけ出来が良い短編集だし、そもそも有名漫画家さんですからね・・・。
二階堂先生の”ヒメの惰飯”は読んだことないんだけど、これを気に読んでみようかなぁという気になった。
1話目の短編はTwitterの方でもバズってたみたいですね。
知り合いにこの短編集をオススメしたらそういう話も聞きました。
時間が無いときでも少しずつ読み進められるのが短編集のいいところ。
コロナで家に引きこもらなきゃだし、他にも色々漁ってみよう。