※ネタバレ有り。閲覧注意です※
2019年9月6日より3週間限定上映されている、ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-。
今しがた、レイトショーにて鑑賞してきました。
あまりにも美しい物語に、号泣してしまいました。
ただただ美しくて幸せなだけではなく、数々の障壁が存在するストーリーではありましたが。
その障壁があったからこそ、永遠となった絆がより美しく見えたんだろうなぁ、としみじみ思いました。
この映画、大きく分けると前半のエイミーパートと、後半のテイラーパートになっていました。
エイミーパート
イザベラこと、エイミーパートは、これぞ京都アニメーションの百合、という感じ。
最初はヴァイオレットを受け入れなかったエイミーの心が少しずつ溶けていく描写が、あまりにも美しい。
一緒にお風呂に入ってほしい。
一緒に横で寝てほしい。
舞踏会のエスコートをしてほしい。
妹への手紙を書いてほしい。
友達に、なってほしい。
この流れと、距離感の詰め方。
なんだこれは。百合として正解例すぎる脚本だろ・・・。
百合を描かせたら、京都アニメーションってやっぱり宇宙一なのでは。
そしてエイミーパートラストの、舞踏会のワルツの美しさ。
ヴァイオレットが美しいのはさることながら、エイミーの表情の絶妙さよ・・・。
夜にはエイミーの元を発ってしまうヴァイオレットのことを想いながら。
そして自由が無い自分の身に複雑な想いを感じながら踊るエイミー。
ヴァイオレットとともに踊りながら、天井を見上げ目に入ってきたのは一羽の白鳥の絵。
あの白鳥を見ながら、エイミーは何を思ったのか。
どこにでも行けるヴァイオレット。どこにでも飛んでいける一羽の白鳥。そんな自由への渇望を思ったのか。
この舞踏会のあと、エイミーはテイラーとの過去をヴァイオレットに語り、一通の手紙を書くことになるのですが。
あの時点で、テイラーのことを想っていたのでしょうか・・・。
あの一羽の白鳥、重ねて見ていたのはエイミーではなく、テイラーだったのか?
舞踏会の時点で、手紙の内容、つまりテイラーへ伝えたい言葉は、エイミーの胸の内にあったはずですからね・・・。
うーん、ここの部分はもう一度劇場に行ってじっくりと考察してみたいところですね・・・。
舞踏会が終わり、ヴァイオレットが去る時。
「あなたが望む限りまた会える」という旨をエイミーに伝えたヴァイオレット。
その瞬間、ヴァイオレットの顔に、眩しいほどの光が当たります。
エイミーの元からいなくなり、もう会えなくなってしまうのではないか。
また自分は、この閉ざされた世界に置き去りにされてしまうのではないかと感じていたであろうエイミー。
そんな不安が、取り除かれていった瞬間を、あの光は描いていたのではないかな、と思いました。
その不安を取り除く要素は、ヴァイオレットの言葉でもあったし、絆を繋ぐ手紙でもあったのかな、と。
女学校へ戻った後。
周りを拒絶し、友人関係を作ろうとしなかったエイミーですが、ヴァイオレットと過ごす3ヶ月で、素直になった彼女。
そんなエイミーの顔を、明るい光が照らしていきます。
そのタイミングで、級友であるランカスターから声を掛けられたエイミー。
そんなエイミーと友達になりたいと言ったランカスターの顔を、ヴァイオレットと同じように、光が照らしていました。
これは、周りを知ろうとしたエイミーの世界が広がっていった瞬間も描いていたんじゃないかなぁ、と。
素直になった自身を照らす光と、周りの世界を照らす光。
閉ざされた世界にいる身ではあるけれど、決して暗い未来を思わせない温かい光の描写で、前半パートですでに号泣・・・。
というわけで、エイミーパート、最高でした・・・。
テイラーパート
大変申し訳無いのですが、ものすごく素直に言ってしまうと、キャラクターデザイン的にも百合的にも、テイラーパートは少し物足りないなと思いながら見ていました。
でも!!それ途中までの話ですから!!!!
むしろこのヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝、物語の本筋はこのテイラーパートにあると言っても過言ではない。
いや、むしろここが本筋であり、一番描きたかったところでしょう。
テイラーがC.H郵便社を訪ねてきて、「配達員になりたい!」と言った時、ほとんどの人が本作の結末が見えたはず。
あぁ、この物語は、テイラーが配達員として姉に手紙を届けて終わるんだなぁ、と。
しかし、そこはさすがの京都アニメーション。
そんな生易しいストーリーなわけないんですよね・・・。
無論手紙は届けたのですが、そこに至るまでの過程が感動的すぎました。
過去に手紙を届けられ、幸せを受け取ったテイラー。
そんな幸せを届けられるような存在になりたいという気持ちにまず感動しますし、やっぱりそれを「姉に届けたい」っていうのは分かっていても鉄板で感動ですよ・・・。
ベネディクトとテイラーの師弟関係。
ヴァイオレットとテイラーの、姉妹のような関係。
まずここの関係が美しすぎたし、テイラーが少しずつ成長していく様子も本当に良かった。
最初はあんなに拙い話し方だったのに、最後は言葉に感情が乗ってましたよね・・・。
ヴァイオレットと一緒にシャワーを浴び、服を買ってもらったことを喜んでいた時のテイラーの言葉。
「あぁ、こんなに成長したんだなぁ」と、少し涙。
これは悠木さんの演技も見事すぎた・・・。本当に素晴らしい・・・。
ついにエイミーへの手紙を書くシーン。
一生懸命エイミーへの想いを伝えようとするテイラーの手に、そっと重ねられるヴァイオレットの手。
エイミーにもテイラーにも、そっと重ねられてきたヴァイオレットの手を見て、
「あぁ、文字が、手紙が、ヴァイオレットが、繋ぐ”きっかけ”になったんだなぁ」
って思っちゃいましたよね・・・そう思っちゃったら、もう泣くしかないんですよね、ここ・・・。
そして、エイミーへと手紙を届けるラストシーン。
嫁ぎ先の裏門から出てきたエイミーは、黒いドレスに身を纏って出てきます。
見ている人みんなが、「テイラー!!!出て行かないのか!?」と思ったはず。
いや、私も思いました・・・。
姉妹の、感動の再会が、ここで描かれるんじゃないかと・・・。
だけど!!ここじゃなかった!!!!
それを視聴者に悟らせるベネディクトの最後の一言と、テイラーの横顔と、涙と、熱く見つめる瞳が強烈すぎました。
「僕の人生には何もない」
ヴァイオレットとの出会いがあったものの、やはりこの想いはエイミーの中にあったのでしょう。
黒いドレスと、日傘が、それを印象づける描写になっていました。
しかしテイラーからの手紙を受け取った瞬間、その日傘はエイミーの手から零れ落ち。
二羽の白鳥が、テイラーとエイミーの頭上を飛んで行き。
別日のシーンでは、開け放たれた窓と、白いドレス、そして日傘を持っていないエイミーが、湖畔でテイラーの名前を呼んでいました。
永遠を見つけた瞬間のこの描写、泣けるなんてもんじゃない。
この二羽の白鳥が飛んで行くシーン、エイミーパートラストのワルツシーンを彷彿とさせましたよね。
一羽にフォーカスされていたエイミーパートから、二羽が大きく描かれていたテイラーパートのラスト。
二羽になった、ってところがとても大きい意味を持った描写だなぁと思いました。
そして前半のエイミーパートでは、あくまでも天井に描かれた絵画の存在だった白鳥が、光を受けて飛んでいく二羽の白鳥として描かれていたのも美しい。
絵画の中に閉ざされた一羽の鳥が飛び立っていく描写でもあるんですかね、これ。
そんなエイミーのエモすぎる描写に加えて、テイラーの配達員のプライドが・・・また素晴らしすぎて・・・。
出て行けなかったのは、きっと配達員としてのプライドだけではないかもしれませんが。
立派な姿になって姉に会いに行こうとするその気持ち、ちょっと美しすぎますよ・・・。
あの熱い瞳で見つめていたのは、きっとエイミー一人だけじゃないはずです・・・。
最後に
というわけで、途中からひたすらに泣きっぱなしなヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝でした。
私、TVアニメシリーズは見ていないのですが、知人から「見てなくても大丈夫」と言われて見た本作。
本当に、見に来てよかったです・・・。
そしてTVアニメシリーズも絶対に見ようという気持ちになりましたよね・・・。
誠意製作中の劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンも本当に楽しみです。
手紙に書かれている、エイミーとテイラーが本当に伝えたい部分が、言葉ではなく文字で描写されていたのがまた泣ける。
これは「手紙」を題材にしている映画ならではの演出ですね・・・。
またこの文字を見て泣くんですよ・・・。いい演出すぎるぞ、京アニ・・・。
めちゃくちゃ泣いた後に「エンドロールで涙乾かそう」と思っていたんですが、主題歌の”エイミー”をじっくり聞き入って、涙止まらず。
ここでも泣かせてくるのかよ・・・ずるいよ・・・。
ってことで、最高すぎる映画でした。
百合成分としても最高すぎるし、ストーリーがひたすらに感動的すぎる。
素晴らしい映画でした。
二回目も是非見に行きたい。
ベネディクト君可愛すぎやしませんかね…
ベネディクト君可愛すぎやしませんかね…