※ネタバレ有り。閲覧注意です※
忘れえぬ魔女の物語 – 宇佐楢春
ダークな世界観で繰り広げられる女の子二人の物語。
うーん、最高でした・・・。
そもそもが結構重めの設定で始まるんだけど、そこにピタリとハマる綾香と未散の関係性。
色々な謎を含みつつも徐々に距離が近づいていく二人を見ているとページをめくる指が音速に達して。
そしてあの甘々な展開になってからの・・・!
一撃で激重漆黒展開。
”結論から言おう。死ぬ”
みたいな一文で悟らせて「なんて言って、まぁ死ぬってのはあくまで比喩でしょー」って油断してました。
優花で死亡回避ネタは一回やってるから、もうやらないでしょ~、的な油断。
そんな予想を裏切って、同じく交通事故であっさりと死んでしまう未散。
そこからのあの激重展開は、序盤の”二人の関係性にワクワク”していた僕の心をいい感じに滅してくれました。
あの子のためなら何回だってやり直せる。
まどマギとかシュタインズ・ゲートとかリゼロとか、こういう展開って色々見てきましたけどやっぱり重いですね・・・。
だからこそ、相手に寄せる想いがどれだけ大きいのかが伝わってくるので、好きな構成ですが。
それにしても、組み立てが本当に上手な小説だなぁと思いました。
未散が感じていたデジャヴの違和感や優花が生き返ったカラクリとの繋げ方も、「なるほどな~!!」だったし。
綾香が百万回以上繰り返してどう着地させるのかと思わせてからの、”人間原理”というロジックには「そうきたか~!!」だったし。
一冊の中でこれだけキレイに整理されてるのは凄いなと思いました。
そうそう、珍しいことに十月五日はたった一日で終わったのよ。
この一文、作者天才だと思った。
最後に
あの地獄のループを乗り越えての、最後のキスは鳥肌でしたよ・・・。
地獄を乗り越えた後のご褒美タイムがもうちょっと欲しかったけど、そういうものが多すぎず、かつ寂しさを与えられるくらいが読者にとって一番幸せなのかもしれない。
後、あえて言うと、優花のところはもう少し描写が欲しかったなぁと思いました。
綾香に惹かれた過去のストーリーとか、魔法使いになった経緯とか。
2冊目が出るってことなので、ここらへんは2冊目に期待したいところ。
2冊目は4月に発売予定とのことなので、心待ちにしています。