※ネタバレ無しの感想記事です
White Lilies in Love 花香るとき、貴方は。 – KADOKAWA
春と言えば出会いと別れの時期。
そして春と言えば、花咲く季節。
そういったものをメインテーマにした社会人百合アンソロジーとなっていました。
全体的な良さで言うと・・・”そこそこ良い”という感じのレベルでした。
アンソロジーなので、そこはしょうがいないところなのかもしれません。
このアンソロジー、尺不足で消化不良起こしてる作品が多い気がする・・・。
収録作品は全部で11本。
抜きん出て良かったのは、彩之よしひろ先生の『悩みの春』。
次点で、くるくる姫先生の『春夏秋冬 君と一緒に』。
次いで、コナタエル先生の『美文字な彼女の開花宣言』でした。
それぞれのざっくりとした感想を、書いていきたいと思います。
Contents
感想
春色パートナー – ぴゃあ
アニメーターと、その彼女のお話。
最初に彼女(さくら)が出てくるシーンが、回想シーンなのかどうなのかが、少し分かりづらかった・・・。
桜と彼女の名前が同じだったという、そういうオチの一本。
尺がもう少しあれば、このオチにももう少しインパクトを付けられたのかなぁ、という印象・・・。
絵はとても綺麗でした。
美文字な彼女の開花宣言 – コナタエル
社会人百合っぽい一本。
甘々な感じで、かなり良い一作でした・・・。本巻で二番目に好きな一作。
来栖先輩が素直になった瞬間が余りにも可愛すぎる。
メインテーマとしては、新入社員ってことで、まぁ春なのかな?
こちらも、絵がとても綺麗。
アンソロジーって、序盤の作品ほど絵が綺麗なイメージがあるんだけど、どうなんだろう?
その海に希わくは。 – 佐喜ハジメ
OLとアクアリストが出会うお話。
会社に綺麗なアクアリウムが導入されて、「こんな綺麗なものを作れるなんて、どんな人なんだろう」、という感じで惹かれていく・・・。
という展開なのですが、いかんせん尺が短すぎた・・・。
色々と惜しい一作・・・。
秘密の二人 – くわばらたもつ
社会人百合な一本だけど、なかなかゾッとするお話。
かなり負なオーラが漂う一本になってましたが、最近のアンソロジーってこういう色の作品が一本は入っているイメージ。
今後を匂わせる展開で終わらせるこのやり方は、なかなか上手い・・・。
が、やはりゾッとするので後味は悪い(笑)
光のどけき 春の日に – 由姫ゆきこ
日本の学生、そして過去に友達だった女の子が留学生として日本に来ているお話。
爽やかなお話で、読後感も良きでした。
若い頃って、別れをこういう感じで惜しんでいたなぁ・・・と染み染みしましたね・・・。
そういった別れの描写が上手く描かれていて、とてもいい一作でした。
桜色の朝 – みみどり
結婚相談所に相談に来た女性と、その相談所で働く女性が出会うお話。
色々とリアリティに欠ける展開が多かったので、うーん・・・という感じ。
ベッドインしてすぐに終わらずに、人による人生観や観点の違いというものを少し描いていたのは、なかなか良かったですが・・・。
これも尺があればどうにかなったのだろうか・・・。
変わらないこと – みずあそう
職場では上司・部下、でも家では恋人同士。そんな社会人百合の一作。
ひたすらに甘々で、いい糖分摂取ができました。
逆に言えば甘々だけだったので、もうワンポイント深い捻りのようなものがあれば・・・という感じ。
まぁ、アンソロジーだし尺の都合上色々としょうがないのかもしれませんが・・・。
after the rain – パデラポッロのりお
花屋の店員と、OLが出会うお話。
なかなかな含みを持たせて終わる一作。
アンソロジーっぽくて良いのだけれど、いかんせん短すぎるので消化不良感が否めない。
悩みの春 – 彩之よしひろ
社会人百合。職場での恋愛のお話。
本巻の中で、抜きん出て素晴らしかった一作でした。
これだけ、他を圧倒してる。
画力はイマイチのように見えて、泣き顔や照れた顔など、機微な表情が上手すぎる。
ラストの泣き顔なんて、リアルすぎてびっくりしました・・・。
この一作を見るためだけに、この本を買っても損は無い。
そんな価値ある一作でした。
この人の作品、他にも読んでみたいな・・・。
学区外で会いましょう。 – 鈴木先輩
社会人百合。職場が同じで、恋人同士のお話。
シチュエーションとしてはあるあるで、本巻でも同シチュの展開は多し。
みずあそう先生の「変わらないこと」と似た展開で、同じく甘々系。
これももうワンポイントあれば・・・という感じ。
やっぱり尺の短さがなぁ・・・。
春夏秋冬 君と一緒に – くるくる姫
社会人と学生の狭間で、距離が離れてしまった二人のお話。
切なさが出ていて、非常に良い一作でした。
果たしてこの子の恋の結末はどうなるのか。
それが知りたいけど、想像することしかできない。
アンソロジーの憎いところを突いてくるなー!という一作でした。
締めの一作としては、非常に良かった・・・。
最後に
全体的には、もう少し全体的に尺があれば・・・という感じが否めませんでした。
しかし中には突出して良かった作品もあって、アンソロジーならではの出会いだなぁ、と思いました。
アンソロジー本来の楽しみ方としては、それが正解なのかもしれません。
彩之よしひろ先生の『悩みの春』は本当に素晴らしかったので、これを読むためだけに買っても良いかも。
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