※ネタバレ有り。閲覧注意です※
姉の親友、私の恋人。 1巻 – 藤松盟
2021年12月25日発売、1巻のネタバレ感想記事です。
とても好みな百合マンガに出会いました。
最近好みな百合マンガに出会う頻度が高いので嬉しい限り。
登場人物は以下のような感じ。
主人公の聖奈はお姉ちゃんが好き。
聖奈のお姉ちゃんは優奈。今は外国にいて他の相手と結婚予定で日本に戻ってくるらしい。
お姉ちゃんの親友が菊。はお姉ちゃんの元恋人。菊が好き。
それぞれのキャラクター、そして関係性やらを整理したり考察したりしようと思います。
聖奈
さて、聖奈はお姉ちゃん(優奈)が好きなわけですが・・・。
これ、100%恋愛的に好きなんだろうか、というと少し疑問に思った。(というか疑問に思わせるよう展開自体が誘導してる)
なんだけれども、菊に対して「優奈のことが好きです」と明言はしているシーンはある。(4話ラストのところ)
この”好き”というのも、姉の”好き”と自分が抱く”好き”の違いについて理解した上で言っているので、聖奈としては恋愛感情かもしれないと整理しつつも、それが本当に恋愛感情なのかは確信ができていない気がするし、恋愛感情ではないと思いたいのかもしれない。
3話ラストの「恋なんかじゃない」というセリフ。
そして5話冒頭の顔を赤らめる菊の表情を見て「変な顔」とつぶやく聖奈。(明らかに恋をしている表情なのにそれが理解できていないのかなぁ、と)
を見て思った次第。
事実、菊と話して自分の感情に名前をつけられないと悟り、5話では「私の姉への感情に名前はつけられない」とも独白している。
ネグレクトされ親から愛されず、内向的な性格から友達もできず、唯一心を許せる存在は姉一人だけ。
そんな姉に菊という恋人ができた時、ひどい喪失感を覚えたという聖奈。
その喪失感から姉への気持ちに気づいたと言うけれど、それは純度100%の失恋による喪失感だったんだろうか?という。
それは恋というより、大切な存在に対する執着心や独占欲に近いものなのかもしれないし。(という内面については第2話で聖奈自身が言及している)
将来的な展開として、菊と付き合って関係性を深めるうちに恋という感情を知り、姉へ向ける感情との違いを認識する、みたいな流れになるのかなぁ、と思った。
菊
あまりにも顔が良くて、あまりにも優しくて、あまりにも大人な対応をする全国民の憧れの馬宮菊さん。
という存在でもありつつ、優奈と付き合っていた頃から聖奈に目をつけていた悪い女。(言い方)
「こんな顔するんだ」ってギャップ萌えで持っていかれたってことですが、菊さん。
ということから、聖奈に心が移ったから優奈と別れたのか?
とも思ったけど、これはおそらくというか結構な確率で違うと思ってる。
そういう理由で別れたんだとしたら、優奈は「聖奈と連絡がつかないから様子を見てきて」と連絡しないだろうし。
菊のことを信頼しているからとか、他に頼る人がいないから、とかあるかもだけど。
そういう理由で別れた人に信頼を寄せるか?っていう問題もあるし、優奈は知り合いが多そうだし・・・。
別れた理由については今後明らかになるとして、兎にも角にも聖奈ちゃんのことが好きだと。関係がほしいと。
関係がほしくて聖奈ちゃんに構いまくって、時には余裕がない表情をして、そして常に優しさと大人の余裕で包み込んであげてる菊さんはどこからどうみても聖女。
菊が聖奈の感情について理解するまでの順序、その後の行動が以下。
ありえないと思いつつも、過去の時点で聖奈の感情に気付いている
↓
3話時点で、聖奈が優奈に抱いている感情について確信する
↓
聖奈の感情に気がついた後でも、聖奈の内面に優しく触れつつ、優奈と話すよう諭す
という順序と行動がとにかく優しすぎる。
気が付かないフリをするでもなく、聖奈を批判するわけでもなく。
聖奈がぶつかっている問題や感情を理解して、姉と向き合えるように諭してあげている。
その上で聖奈と恋人という関係を手に入れたいという菊さん。
ただ単純に聖奈を手に入れたいというだけじゃなく、聖奈自身を苦しみから解放してあげようという。
悪い女とか言ってほんとすみませんでした。
そういえば冒頭で聖奈にプレゼントしていたダイヤモンドフロストの造花。
花言葉は『君にまた会いたい』って言ってたやつ。
聖奈が姉に向ける感情について菊が確信には至っていないけど、聖奈のことを連想してプレゼントしたということで。
おぼろげながら菊は聖奈の感情に気が付いていたことの示唆なのかな、とも思ったけど。
「なんとなく聖奈ちゃんを連想したんだけどな」っていう、菊の内心を言葉通りに表したものなのでは?とも思った。
優奈と別れたけれど聖奈にまた会いたかったという菊の心情。
そしてその菊の心は当時のままから枯れていない。(だから生花ではなく枯れない造花)
聖奈が優奈へ抱く感情が消えることはない、という隠喩にも思えるけど・・・。
菊自身がそう思ってプレゼントするとしたら、造花はなんだか違うかなぁ、とも思った。
であれば、実は菊自身の心を表していたというほうが個人的にはしっくりくる。
「聖奈ちゃんを私にくれないかな」の1話最後のシーンで菊と一緒に印象的に描かれてるし。(1話ラストシーンでダイヤモンドフロストを印象的に描いているのは、ミスリードに対する答え合わせって意味がある?)
まぁ、全部ただの深読みですが・・・。
優奈
今のところ一番正体が分かっていない人物。
菊と昔付き合っていたが別れて、海外に行って現地の人と結婚することになった、と。
現地の人が男なのか女なのかも分からないけど、まぁそこは大した問題ではないんでしょう。
1話の扉絵。
この構図を見る限り、聖奈のことは”守りたい存在”。
菊に対しては”縋りつきたい存在”のように見える。
(菊は聖奈を見つめているけど、聖奈はどこを見ているのかわからない。なんなら優奈を見ているようにも見える、って構図もこれまたエモい。これ、将来的に聖奈が菊のことを見つめてる構図とかあるんじゃないか???という妄想)
これをどう解釈したらいいんだろう、というのはなかなかに考察しがいのあるところ。
菊と別れた原因が何なのか分かっていないので、ここがキーポイントになってくる気はするのですが・・・。
菊に縋りついているようだけど、他の人と結婚するって言ってるから難しいんだよなぁ。
菊と恋人になったということについても、おめでとうではなく「帰ったら三人で話そう」という感じだし。
何言われるんだろう。ちょっと怖い。(そりゃ週末逃げたくもなる)
ひとまずこの姉については、今後の描写がないとなんとも分からないところが多いので考察するのも難しいというのが本心。
最後に
考察しがいがあるし、登場人物は美しいし絵はきれいだし、菊さんが最高にタイプだし。
ものすごく楽しみ甲斐がある最高の百合漫画が登場しちゃったなぁ・・・。
菊さんがちょくちょく使う「~と思っただろ」とか「行ってもいいだろ?」みたいな言葉遣い、最高に最高。
これぶっちゃけ作者さんの性癖なのではと疑ってかかっている。
あと、今後重要そうな立ち位置になりそうなのが”ゆりあ”。
この子がどういうポジションにつくのかが楽しみでならない。
菊さん狙いのようで、果たしてどうなのか。
久しぶりにかなり楽しみな連載作品にぶち当たったので、実生活に余裕がありそうなら毎月連載ごとに感想記事書きたいなぁと思ってます。
余裕が・・・あればですが・・・。(当ブログ、社畜のなんたらかんたらブログなので・・・)