【ネタバレ感想】推しが俺を好きかもしれない 1、2巻 - 典型的な”俺のことが好き”展開、しかし計算された構成と面白さ

【ネタバレ感想】推しが俺を好きかもしれない 1、2巻 – 典型的な”俺のことが好き”展開、しかし計算された構成と面白さ

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※ネタバレ有り。閲覧注意です※

推しが俺を好きかもしれない – 川田戯曲
1、2巻まとめてのネタバレ感想記事です。

Kindle Unlimitedで1巻が無料だったので読んでみました。

1巻読み始め当初は、主人公がオタク論調のよくある「ヒロインが俺のこと好き」展開のあるあるラノベかなー、という印象だったのですが。
1巻中盤あたりから「これ、ただのオタク論調ラノベじゃない・・・」となり、あとはただただ引き込まれました。
むしろここぞというところでオタク論調を使ってくるのが上手すぎた。
1巻最後の「デモ音源くれなくてもいいわ」とか、2巻最後の告白直前のセリフとか。

タイトルの”好きかもしれない”、というのが只の難聴主人公のあるあるではないのも好印象でした。
本物のファンというものは推しとお近づきになったりしないという夜宮の矜持。
それ自体は筋が通っていたし、だからこそ憂花の行動や独り言に対しては、夜宮もああいう反応をせざるを得ないという。つまり現実逃避。
2巻最後ではついにファンとしての夜宮は終わりを迎えてしまったわけですが、結局そのあとどうなるの?というのが読みたいので3巻出てほしいというのは本心です。
なのですが、”推しが俺を好きかもしれない”というタイトルに対してのお話はキレイなまでに終わってしまってますし、今後の話は推し関係なくただのラブコメになってしまう・・・。
まぁぶっちゃけそれでも読みたいと、というのが本心ではありますが。(本音すぎる)

憂花自体のキャラクター性も筋が通っていて、これでもかというくらい面倒くさい女が書かれていて青少年が読もうものなら今後の人生における性癖が心配になるレベル。
こういう女が好きってなっちゃったらどうするの的な意味で。(女側からの需要はありそう)
私から離れるのはいいけど、そっちから離れていくのはダメだしむしろ追って来いって言うところとか、1巻最大の見せ場だったし、憂花が一番輝いていたシーンでもありましたね・・・。
ぶっちゃけ最高すぎる。(すでに性癖が歪んでいるので大丈夫な大人の意見)
ただ言い合うだけじゃなく、デモ音源がいい小道具になっていてよかったです。
2巻でも登場してくる小道具だし、最終的にはデモ音源がなくてもって2巻のくだりも好きな表現でした。

憂花が好きになったキッカケが本屋デートの際の一件というのは少し弱いかとも思ったけど、現実的に考えるとキッカケとしては十分な気がしました。
そもそもファンタジーやらでありがちな”運命の相手、前世でうんたらかんたら”みたいなのって逆に現実的じゃないしな・・・。

逆に檜原由女は1巻の頃から少しだけ影を出しつつ2巻で一気に登場!というのは綺麗に構成されてるなぁ、と思いました。
こっちについては憂花よりも好きになった背景や想いなんかが強く伝わってきた気がしました。
しかし無情ながら、私のほうが前から好きだったとかそういうのが事実だとしても、夜宮くんが誰を選ぶのか、という残酷な現実・・・。
檜原との”あったかもしれない未来”を想像する夜宮についても個人的には腹落ちしたし、これはしょうがない・・・。
2巻表紙がエグいくらい可愛いし、本文中でもしっかり可愛いので、ちゃんと失恋してしまった姿はなかなかにつらいものがありましたが、それでも諦めないという姿はそれはそれでリアルだと怖い。(正直)

上でも書きましたが、1巻と2巻でタイトル回収に必要な要素プラスアルファが書ききられていて3巻がなくても満足感が高いし成立しちゃってました。
この後の憂花がぐいぐい来るところも読みたいし、諦めない檜原がぐいぐい来るところも読みたいし、それによってバトっちゃう憂花と檜原も読みたいし・・・。
読みたいだらけではあるんですが、でもそれ1巻2巻でも盛り込まれていたよね?と言われてしまうとぐうの音も出ない。
そうなんですよね・・・全部書かれちゃってるんですよね、すでに・・・。
ただし最終巻とも書いてないし3巻が出ないとも言われてないから、心の片隅にこのラノベを置いて待っておくことにします。(ラノベあるあるとか言わないで)

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