※ネタバレ有り。閲覧注意です※
性別「モナリザ」の君へ。 – 吉村旋
5巻まで一気に読んでみました。
展開が遅めなので、一気読みするのになかなかいい漫画だった気がします。
こういう少し考えることが必要な漫画は一気読みに限る。
最近増えている、時勢に沿った内容だなぁと思いました。
面白かったですが、気になるところも数点。
まだ完結していませんが、現時点で気になっているところを以下に書いていこうと思います。
これらの点も、完結した時にはスッキリ回収されるような仕組みになってるんですかね。
登場人物たちが抱える葛藤についてですが。
悩みの方向性が多々に渡りすぎてしまったので、”恋愛”に対する悩みとか”性別”に対する悩みなのか、これはフォーカスを絞ったほうがスッキリ読めたかなぁ、と思いました。
”性別”の悩みというのは、男らしくしなきゃとか女らしくしなきゃ、っていうのは何なんだ、みたいな話。
そもそもの、恋愛をする上で”性別”を意識する必要があるや否や、という複合的な問題なのかもしれませんが。(なんとなくこっちが本題な気がする)
しかし白銀の、恋愛とは言い切らずとも大切といえる存在との距離感や付き合い方、という葛藤も登場してきたわけで。
こっちは友情と恋愛の違いとか、そこに性別の差異が加わることによる距離感の違いとかに悩んでいて、また少し違った葛藤。
色々な人の悩みが色々と出てくるわけですが、漫画としては「今の本題って何だっけ」となってしまいやすいので、なんとも難しい。
白銀と相談してひなせの心の中では一つ整理がついたかもしれませんが、悩みの原点が違うので白金側は依然苦しいんですよね・・・。。
あと恋愛とかジェンダーとは別に、「早く性別決めなきゃ死ぬ問題」も。
準モナリザ症候群というSF的なお話なのか、性やジェンダーをメインテーマとしたお話なのか。
そもそもそれらをミックスした漫画として読んでも面白いのは勿論なのですが、こういった考えさせられる漫画は、私としては”メインテーマ”が知りたいところ。
準モナリザ症候群をメインとしたSF的なお話、と言うことであればストーリーや展開で見せてくれれば漫画としてはすごく納得なのですが。
性やジェンダーをメインとするのであれば、その”メインテーマ”がこの作者にとってどう描かれるのかが気になるところなので。
まだ完結していないので、ここのところは新刊を追いつつ自分なりに読んでみようと思っています。
作中に登場する青色の演出ですが、読み始めの頃は好きという感情を表現するもの、と思っていました。
しかし読み進めていくうちに、”強調”や演出の綺麗さにも使われているのかなぁ、と個人的には思いました。
たぶん前者の意味はもちろんあるとは思うのですが、それ以外の箇所でも使われていて、恋愛的な意味に結びつけるのが難しい場面があったので。
かつ、あとがきでもガンガン使われているので、恋愛の特別的な表現だけに絞られてはいないのかぁ~、と読んでいる内に思いました。
でも、ひなせの言葉に青色の「好き」が入ってきた時に、恋愛的なストーリーは決着するんだろうなぁ、と予想してます。
ここでの青は印象的に使ってほしいなぁ、と期待しています。
と気になる点だけつらつら書いてしまいましたが、しっかり面白かったです。
恋愛ドラマとしては面白い展開になっているので、テーマをしっかり回収しつつ恋愛ドラマとしても納得いく着地を見せれば名作になる予感。
テンポがゆっくりという感じはありますが、その分丁寧に感情描写もされているのでしっかり落ちるべきところに着地してほしいなぁと思ってます。
6巻は2021年3月12日発売予定。もうすぐですね。
読んだタイミングがよかった。