※ネタバレ無しの感想記事です
春とみどり – 深海紺
2019/4/11に発売された、深海紺先生の春とみどり。
ちなみに深海で”ふかうみ”と読むそうです。
某映画監督と混同されぬよう・・・。
結論としては、”非常にオススメ”なのですが。
とても難しいのが、「何がオススメなのか、言い表すのが難しい」ということです。
”良い”と感じるポイントが多すぎるからかもしれません。
感じ取れるものも多く、人によって”良い”というポイントも様々な気がします。
ですが、そこを頑張って言語化しようと思います。
ストーリーは、とてもざっくり書くと以下のような感じ。
もっと色々あるんだけれど、とても伝えきれない。
主人公のみどり、31歳。
世の中でよく言われる”コミュ障”というやつで、人付き合いが得意ではなく、人と話すことも苦手。
そんなみどりさんの元に一通の手紙が。それは、学生時代の友人、つぐみの葬儀への案内だった。葬儀の場で、つぐみの娘・春子に出会ったみどり。
親・親族からも見放され、ゆく当てが無い春子を、みどりは自分の元に引き取ることを決意する。一緒に暮らす中で、春子につぐみの面影を重ねるみどり。
つぐみから貰った優しさ。
春子から与えてもらえる、人と接することの暖かさ。人と接さず、ふさぎ込んでいたみどりの生活が少しずつ変わっていく。
変わっていくのは、春子も同じようで・・・。シリアスな雰囲気・世界観の中にも、人の暖かさが感じられる。そんな同居譚。
いわゆるコミュ障のみどりさん。
そのみどりさんが、春子と触れ合うことによって、少しずつ変わっていく。
1巻の中だけでも、大きく成長したように思えます。
丁寧な描写で、微細な感情の動きを描いている構成術は”見事”の一言です。
学生時代に友人だったつぐみと、その娘の春子。
容姿が瓜二つという設定になっています。
そしてみどりさんは、春子につぐみの面影を見ます。
春子の言動の端々に、つぐみとの過去の出来事を思い出すわけです。
ここらへんのシーンは、過去と現在が行ったり来たりします。
同じ顔のキャラクターで時系列が行き来するのですが、凄いことに、全く混乱しない。
読者が混乱しないよう上手く構成しているんだと思いますが、素直に頭の中に入ってきます。
(過去のシーンってコマの周りが黒塗りされているマンガが多いと思いますが、このマンガにはそれが無いです。)
構成が凄いだけじゃなく、その描写を使ってみどりの感情の動きが綺麗に表現されている、という点も素晴らしい・・・。
みどりがどう思ったのか。どう感じたのか。
微細な感情描写なのにも関わらず、ストレートに頭に入ってくる。
深読みなんて一切不要の描写技術が本当に凄いです。
一巻はみどりの感情の動きをベースに話が進み、主軸自体もそれでした。
一方、春子の心情にはそこまで深く触れられておらず。
春子の思いについては二巻以降で、というところで一巻が終わっていました。
続刊が楽しみでしょうがない一作が出てきてしまいましたね・・・。
まぁ、今後の展開で泣くんでしょうね、私は。
最近涙腺がゆるいので間違いない。
シリアスな雰囲気の中に、温かみを感じられる本作。
非常にオススメです。
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