※少しばかりのネタバレありです
キミの青春、私のキスはいらないの? – うさぎやすぽん
読んだ後の感想が人によって様々なものになりそうだな、と思った青春ラノベでした。
甘いラブコメを求めている人にはちょっと合わない、かもしれない。
読み手がこの本を読んで何を思うのか、ってところが軸だった気がする。
そういう意味ではストーリーや展開だけでエンタメ感を出したり、甘いラブコメ展開で悶えさせたり、という昨今のラノベとはかなり違った作風だと感じた。
自分が典型的な悶える系ラブコメばかり最近読んでるから特にそう思ったのかもしれない。
序盤、日野と絡むラブコメなんだろうなと思って読み進めていたけど、物語の主軸が見えてこなかった。ラブコメなのか何なのかがよく分からない、という感じ。このラノベがどういう終わり方をしそうなのか、どういう方向性の話になるのかがなかなか分からなかった。(この時点ではハズレと思ってた)
中盤、初デートのギターを買ったあたりから急に一般小説みたいな雰囲気になった。
序盤のラノベ特有のようなコメディ表現が一気に減り、独特な世界観と文章に引き込まれ始めた。
ここまできたら、読了までは一瞬だった。
確かに、過去にやってきた事が無駄だったり意味が無かったりするんじゃないかとその時点では思ったりする。
でも時間が経った後に思い返すと、そういう出来事だったりやってきた経験が自分自身を作っていたり、何かしらの関係や物事に結びついていたりする、のかもしれない。
失敗しても無駄になったとしても、その時に全力で物事に向き合うことにはきっと意味がある。
というのが、私がこの本から受け取った題材でした。
読み終わった後はなんとも不思議な気持ちになります。
もう一回読んでみると別の見え方があるのかもしれない。
意外とスルメ本、なのかも。
甘々ラブコメを期待して読み始めたわけですが、いい感じに裏切られた。
こういう小説はこういう終わり方でいいんだよな、と思った。
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