【ネタバレ感想】やがて君になる 佐伯沙弥香について(3)

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ネタバレ有り。閲覧注意です※

やがて君になる 佐伯沙弥香について(3) – 入間人間

2020/3/10(火)発売の「やがて君になる 佐伯沙弥香について(3)」。
原作・やがて君になるの外伝ノベライズの3冊目、ついに完結となりました。

発売日、日付が変わった瞬間に電子書籍を購入し読ませて頂きましたが。
佐伯沙弥香がついに星に、光に、その手が届いた瞬間を拝める日が来るとは・・・。(オタクはこれだけで泣く)

原作では叶わぬ恋となってしまい、前を向いて歩く沙弥香のその姿をただただ祈るように応援することしか出来ませんでしたが。(最終話で、幸せそうな姿は確認できましたが)
この「やがて君になる 佐伯沙弥香について(3)」で、ようやく報われた姿を見て、沙弥香オタクの僕は角川書店の方角に五体投地。

そして沙弥香と陽ちゃんの描写だけではなく、原作で登場したキャラクター達のその後の描写にも非常に惹き込まれました。
原作のその後を公式が書いてくれるのって、やっぱり格別の良さがありますね。

1、2巻が原作から大きく外れていない時系列を描いていたのに対して、この3巻に至ってはほぼ原作外の時系列を描いているので、1、2巻とはまた違った空気感を感じることができました。

というわけで、以下に感想を書かせて頂きたいと思います。

感想

柚木千枝と水泳ちゃん

この3巻、”佐伯沙弥香について”シリーズに出てきた因縁(?)の女性たちの描写が数多く登場していました。
主に、柚木千枝先輩と水泳ちゃん。

燈子についての描写ももちろんありましたが、スピンオフとしてはやはりこの二人の描写が目立ちました。

千枝先輩は、沙弥香の心に本当に深いトラウマを植え付けていったようで。
「さようなら」と爽やか(?)に過去に決別を付けていたようにも見えましたが。
やはり初恋というのはそれだけ重さがあるものなのか。
「初恋はいらない」、なんて表題があったものの、陽ちゃんに迫られている時でさえ半分は千枝先輩のことを思い出しちゃうんですね・・・。
罪深い女だぜ、柚木千枝・・・。(顔がいいので憎めない)

もう一人、水泳ちゃんの方。
水泳ちゃんという呼称の正否は置いといて。

意外な形での登場でした。

今はもう沙弥香との接点がないので、見かけるとしたらこういう形にならざるをえないんですかね。
ささつ2巻のラストと、原作最終話から勘案して
「陽ちゃんは水泳ちゃん!?」
なんて予想もしてしまいましたが、完全に別人という事が判明した瞬間でした。
水中でのあの出来事が、沙弥香の心臓にヒビとして残っているのと同じように。
水泳ちゃんの中に、綺麗な思い出として残っているというのがとても印象的でした。
沙弥香にとってはヒビであり、隙間に入ってくるものを冷たく感じる。そんな思い出ですが。
水泳ちゃんにとっては、綺麗な思い出なんですよね・・・。

この温度差。
陽ちゃんとの関係性に”温度”が数多く登場する3巻において、沙弥香と水泳ちゃんのこの”温度差”は、二人が決して交わることはないという決定的な描写に思えました。
沙弥香が「忘れた頃に届いた手紙」と表現している点も、尚更強くそう思わせますよね・・・。

と、すでに交点を失ってしまった水泳ちゃんではありますが。
水泳教室に行かなくなってしまってからの水泳ちゃの描写って無かったので、沙弥香との思い出が彼女の中にどう残っていたのかは凄く気になってたんですよね。
綺麗な思い出として残ってるし、まだ忘れられない思い出のようなんですが、水泳ちゃんにとってはもうどうしようもなくなってしまった、というのは少し寂しいですね・・・。

なにはともあれ。
補完して欲しかったところ、後日談として欲しかったところ、そんな箇所が綺麗に拾われていくこの感じ。
大満足の一言でした。

枝元陽

カバーを見た時の第一印象は
「侑!?」
でしたね・・・。(笑)

千枝先輩、燈子と、これまで沙弥香が恋をしてきた女性とはかなり違ったジャンルの彼女。

沙弥香との出会いは、都と理子の出会いを彷彿とさせるような場所でしたね。
まさかのベンチとは。
そして片方が泣いている、というシチュエーションまで同じ。
宅飲みしてるところまで同じなのには思わずニヤッとしてしまいました。
これで都と理子を思い起こさない、という方が無理なのでは。(笑)

お付き合いに至るまで、ひたすらに陽ちゃんを応援するような心境でした・・・。
「行け!押せ!幸せにしろ!」と内なるオタク心が叫んで喚く。
深夜だったので声に出ていなかったか少し心配。

そしてこの陽ちゃん、千枝先輩とは似ても似つかないのですが、少しばかり水泳ちゃんを彷彿とさせるような箇所があったのが気になりました。

そうして日焼けした顔が振り向いて、まるでこちらの手を引くように歩いていく様子は私に過去の香りを錯覚させる。

うわあ・・・1巻冒頭のカラーページじゃん・・・。
と思ってしまったのは私だけじゃないはず。

あと、強く印象に残ったのは、陽ちゃんが考える”好き”の形。

今見えてる沙弥香先輩のすべてが好きで、それしか分からない

なんて真っ直ぐで、素直で、眩しすぎる回答。
過去に、沙弥香が燈子に”好き”の形を導いて、燈子が前に向かって歩いて行けたように。
今度は陽ちゃんが沙弥香を導いていくような展開。
この言葉の後から、沙弥香が陽ちゃんへ向ける気持ちが固まっていったように思えました。

そしてこの直後から、沙弥香がすごく前向きになるんですよね・・・!!(鼻息)

例えば。
「付き合いましょう」と言った時に、千枝先輩との嫌な思い出を話したのに、今では笑っている沙弥香の姿とか。

立ち去っていく猫の姿に昔を思い出しつつも、長く伸びた髪を切る決心をする姿とか。

付き合い始めた後に燈子と会い、その顔を見つめながらも、「私の視線を、いつも奪っていた」と過去形になっている箇所とか。
※この直前に浮気云々のくだりで「できないのよ」という沙弥香のセリフは、燈子への未練を思わせましたが、杞憂でしたね

苦い思い出の象徴であったコーヒー。
アニメ版ではコーヒーの水面を覗き込んでいるだけでしたが。
過去の思い出への言葉を、その湯気に乗せて天井へとこぼしているシーンとか。(もうここらへんになるとオタク特有の考えすぎ感&妄想全開)

中盤あたりから沙弥香が前向き一直線になって、沙弥香オタクの僕は・・・僕はね・・・!!!

最後に燈子とじゃんけんするシーンとか。
あそこはずるすぎる。
ファンが悶絶してしまうじゃないか・・・。(すごく悶絶した)

ちなみに燈子が出した手、私はチョキだと思います。

まなみど

まなみどファン卒倒のワンシーンが用意されていました。
あぶく吹きそうになるくらい衝撃を受けてしまった・・・。

え・・・同棲・・・いや、これは・・・。

結婚???

もはや付き合ってるのかな、とすら思ってしまうくらいイチャイチャしてましたが。

そこらへんを絶妙に匂わせる感じが上手なんですよねー、入間人間先生・・・プロじゃん・・・。(プロです)

ただ決定的だったのは、みどりの以下のセリフ。

卒業してからも、愛果と一緒に? ・・・そうなる、そうなるのかな

卒業後も同棲することが二人にとっての決定事項になっているだと
ということでオタクは3323回悶え死んだ。

好きって言ってないとか、浮気とか、二股とかイチャイチャイチャイチャ・・・・・・・・。

え????
入間人間先生のスピンオフで、「やがて君になる 〜まなみどのその後について〜」が出るって本当????

その他、気になった点

侑の部屋にあった”丸くてかわいい”ぬいぐるみ。
これメンダコですかね?
こんなところに小ネタを挟んでくるとは・・・(笑)

てか、侑と仲良すぎて侑沙大好き勢の僕は爆死してしまった。
陽ちゃんが妬くくらい仲がいいんだよ・・・?
やばすぎでは・・・やば・・・・・・。(語彙力)

あとの描写な。
いいぞ、ハルちゃん。
そこについて突っ込んでいけるのは燈子と君くらいしかいない。

冒頭のカラーページについて。
試し読みが出た時の別の感想記事でも書きましたが・・・。
お酒を飲む沙弥香さん、色っぽすぎる・・・。
迫る陽ちゃんの手、腕、太もも、腰回りとか・・・イラスト強い・・・。

沙弥香の中の人のイメージからか、めちゃくちゃお酒に強いイメージがありましたが。
意外にもそんなに強いわけではなさそうでしたね(笑)
あと日本酒飲むと思ったらビールだった。(やっぱり中の人イメージ)

最後に

ついに光に届いた沙弥香。
本当におめでとう、の言葉でいっぱいです。

原作を読んで、本当に報われて欲しいと祈っていましたが。
最終話に至るまでの、つまりは沙弥香が報われるまでの丁寧な過程を読むことが出来て、本当に良かった。
心に入ったヒビや痛みは無くなることはないけれど、その痛みを柔らかく包むような温かさに出会ってくれて本当に良かったなぁと、オタク心にしみじみと感極まってしまいました・・・。

ということで、完結おめでとうございます。
原作もスピンオフも完結してしまいましたが、この作品を愛する気持ちは変わりませんし、今後も応援していきたいと思っています。
ひとまずは今月末のアンソロジーもありますしね!
秋には舞台もありますし!

まだまだ続くやが君を、これからも追っていこうと思います。

では、次はアンソロジーの感想記事にて。

4件のコメント

  1. わたしは小説とか文字を読むのがあまり得意ではないのですが、どうしても佐伯沙弥香がどんな結末を迎えたのかが知りたくて
    邪道とは分かりつつも3巻のみを読みました。
    沙弥香がハルちゃんとの関係を通して、燈子や他の子の時とはまた違う形の恋だけど、でも今までと比べようのない幸せを感じているのをみて
    私もビールを飲んで泣きながら祝福してます(´;ω;`)
    やが君の本編においては侑が主人公にいる限り沙弥香の恋が実らないのは仕方ないし、侑にも幸せになって欲しかったのでやるせない気持ちでした。が、素敵なキャラクターだけに沙弥香には本当にどんな形でも良いので幸せを感じて欲しいと思っていたので
    それを見届けることができて良かったです。
    後悔しながらささつ1.2巻買いました笑

    1. あんこさん、いつもコメントありがとうございます。

      ビールを飲みながら祝福したくなりますよね!!(した人)
      仲谷先生が「沙弥香を幸せにしてくれ」とお願いしていたと聞いてこれは大丈夫だな、とは思っていましたが。表紙の笑顔だけで十分に伝わってきましたね。

      3巻から読む形でも、私は全然ありだと思いますよ!笑

  2. 昨日の一挙放送から急遽これは原作から読まなくてはいけないと思い見るのをやめ、仕事を休み、原作とスピンオフを買い、読み終えてからアニメを見て今の時間に至りました… 本当にいい作品に出合えて喪失感で死んじゃいそうです。沙弥香が最後に幸せになってくれて本当にうれしかった…もうこんな作品に二度と会えないかもしれない…願わくば二期、そして劇場版が見たい!!! 他の方の感想も見たいと思い拝見させていただきました。すごく分かりみが深く叫びだしそうです… 永遠にこの世界観をみていたいと思ってしまいます…

    1. コメントありがとうございます。

      めちゃくちゃ分かります!!!
      これほどハマる作品には、もう今後出会えないんではないかと私も思いました。
      原作の連載が終わって、スピンオフも完結してしまい・・・。
      あとは舞台(encore)とアニメ第二期だけを待つのみとなってしまいましたが、私はなんとかTwitterのTLに支えられています。
      いまだに毎日のようにやが君の話題が出てくるTLなので、この作品のファンって本当にやが君が大好きなんだなぁ、と。

      またいつか、公式から何かしらの書籍等が出てくれないかなぁと祈るばかりです。

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