住野よる – 「また、同じ夢を見ていた」 を読んでみた

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住野よるの「また、同じ夢を見ていた」を読了。

住野よるは「君の膵臓をたべたい」で一躍ヒットした方ですね。

君の膵臓をたべたいはラノベ的な文調感が強かったですが、この本ではかなり雰囲気が変わっていて、小学生の女の子の話し口調をベースにした柔らかい情景描写が主になっていました。
キミスイとは違って、情景描写もかなり文芸小説っぽくなっていて、こんな文章も書けるのかぁ、とちょっとびっくり。

尚、作者が伝えたいことの一番軸は、キミスイと同じみたいのようです。
人生において色々な分岐点、選択肢があり、些細な分岐点でもその後の人生は大きく変わり得る、というところでしょうか。
作者の方が作家という道を目指す上で、人生で得た教訓なのでしょうか…。2冊続けて読んだ本の内容の主軸が同じだったので、この教訓には作者の強い思い入れを感じますね。

それにしても主人公を導いていく人たちを、本当に上手に書けているなと思いました。
読後はなかなかの爽快感。
ところどころに散りばめられた細かなネタをクライマックスで拾いつつ綺麗に終わらせています。

小説としての完成度は、君の膵臓をたべたいよりこちらの方が上に感じましたね。
ただし序盤のゆるっとした展開が苦手な方は、序盤の方で切ってしまいそうではありますが・・・。

個人的には「また、同じ夢を見ていた」の方が、「君の膵臓をたべたい」よりも好きでした。
すごくオススメの一冊です。

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