【ネタバレ感想】りゅうおうのおしごと! 第15巻 – 神巻。個人的に最近の中でかなりの神巻。

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ネタバレ有り。閲覧注意です※

りゅうおうのおしごと!15 (GA文庫) – 白鳥士郎
2021年9月14日発売、15巻のネタバレ感想記事です。

第14巻の感想記事は以下リンクよりどうぞ。

空銀子推しには物足りない一冊だったかもしれませんが、特定のキャラ推しとかそういうのは関係なく、一つの物語として極上の完成度を誇っているような1冊でした。(とは言え万智推しにはたまらない一冊)

最初から最後まで隙がまったくなく、常に面白い展開のままラストまで駆け抜けていって、そして最後にあの銀子。
たったあれだけの描写で14巻ラストのレイニー展開を、今後に希望をもてる展開にもっていくの凄すぎない???

14巻のラストがなかなかに暗い終わり方をしてしまったのと対照的に、15巻は色々と明るくて前向きな終わり方だったなぁと思いました。
まぁ、さすがに2冊連続でレイニー止めされたら心がもたないからね・・・。

今回は八一と万智が二人で本を出すという話が主軸。
もう一つ大きなところで言うと、あいの東京暮らしと八刀伐八段まわりの人間関係。
鹿路庭珠代さん、今回で完全にファンになっちゃった・・・。
この子、めちゃくちゃ魅力的じゃん・・・。

前回14巻のラストから、という点について。
天衣が八一のところに押し掛けてきた所で終わっていたので天衣一推しの自分としては「こ、こ、こ、これはきましたわ(鼻血)」だったんだけども。淡い期待。
まぁ銀子という本命が他にいて、他のキャラと恋愛関係になることはないのは自明(と思う)だから天衣ルートに発展とかは残念ながらも期待はしてないんだけど。なまじ期待すると心にダメージでかいし。
でも天衣の見せ場がこれから増えるな、という期待はマシマシで15巻の発売を楽しみにしていた私が、過去にはいたんですよ。

しかし15巻の予告時点で不穏な兆しが。

え?天衣じゃなくて、今回のメインは・・・供御飯万智さん・・・???
という気づき。

まぁ、ね。少し前の9巻で天衣は主役張ったばかりだもんね・・・。しょうがないと言えばしょうがないのか。しかし、やはりメインの銀子やあいに比べると出番の少なさが目立つのでもう少し!なにとぞ!!天衣ちゃんを・・・!同棲ウキウキ生活がここぞとばかりに展開されると期待していた僕は結局心を痛めてしまった。

しかし4億円のローン組まされた挙句、200万のヤケ買いさせられてるところはめちゃくちゃ笑った。天衣と同棲するために4億の買い物するって、もうこれ一時的な同居とか言ってられないでしょ。責任取ってあげなきゃ。
なんなら「外で女を作るのは許す」って発言からも分かるように、銀子もあいもいなくなった今、正妻は私だと言わんばかりの天衣ちゃん。
これで結局他の女のところ行っちゃった、ってなったら雨風に晒されるであろう天衣ちゃんの気持ちと4億円のマンションだけが残されてしまうのでそれだけは勘弁してほしい。切実。

そして西宮北口駅が聖地のラノベってなんだろうも思ったら、ハ○ヒのことね。
それで憂鬱とか、九頭竜八一の驚愕とか言ってたのか。
あっちは角川で、こっちはSBクリエイティブだけどそこんとこ大丈夫だろうか(笑)

4億のくだりにしてもそうだけど、「お魚→食卓で再会」とか「小学校が近くにあるから」のくだりとか、天衣との絡みはギャグレベルが高すぎるので癖になっちゃう。
これだけで5巻くらいスピンオフやってください。

にしても、こんなにあっさり思い出のアパートがぶち壊されることになるとはな・・・。
14冊に渡って登場し続けたあいとの思い出の場所なのに。これは、あいも知ってしまったらショックなのでは。

で、その後は序盤から供御飯万智さんのターン。
圧倒的なまでに供御飯万智さんのターン。

本の執筆シーンについてはギャグも多くてひたすらに面白い。りゅうおうのおしごとって、こんなに面白かったっけ。(こんなに面白いです)

細かいとこだけど、カチャカチャカチャカチャ・・・ッターン!のとこ、地獄のミサワネタだよな・・・笑
結構細かいとこでパロディネタ入ってて笑ってしまう。
固有スキル女子小学生◎も笑った。ウマ娘かなこれ。

空と銀子のために書く、ってことで書き始めた本でしたが、むしろこの15巻時点では供御飯万智こそが一番その本の中身を吸収したであろうという終盤の将棋の熱さ。
その八一の思考を知ったからこそ、あいがもっともっと深い部分で八一と繋がっていたことを知ったという皮肉な結末。
将棋との繋がりにおいてもあいに負けてしまい、そして最後の濡れ場(濡れ場って言うな)でも銀子に負けてしまうという供御飯さん。
いや、もう「好き」って言って体絡ませてたとこ、色気がすごすぎてめちゃくちゃ興奮した。(正直な言い方)
これは膝に矢を受けてしまうのもしょうがないと思う。

ちなみに膝に矢を受けてた肩車のシーンは死ぬほど笑った。
今はちょっと立てないとか、ギリギリのとこで立ってるとか、そのまましばらく立ち上がれないとか、絶妙な言葉遣いすぎた。(ちなみに「膝に矢を受けてしまってな」の元ネタはスカイリムらしい)

で、あそこで撮った写真をラストシーンの編集長との会話に持ってくるとはね・・・。繋ぎがうますぎる。

「これで詰み」というセリフが万智の口から溢れて、将棋の面でも恋愛の面でも八一絡みでは敗北宣言なのかなと一瞬思ったのですが。
恋はまだ続いて、そして始まったばかりと言う
言葉で読者の僕も救われた気持ちになった・・・。
帯にも書いてた通り、「供御飯万智、参戦!!」なんだよなぁ。
これからや!これから!

そして正直な話、あそこまで書かれて寸止めされるのは辛抱たまらないので薄い本なにとぞ・・・!なにとぞ・・・・・・!!!

八刀伐八段について。
関西の粘りの将棋の方が性分に合っていそうという生石さんの言葉だったけど、ラストでもそれを匂わせる「何度だって挑戦する」というセリフ。
八刀伐さんが最後に勝ち切るために足りないもの、結局なんだったんだろうとは思った。
八一とかの話から考えるに「ここぞという場面での勝負術」になりそうな気もするけど、それはもう持っているような気も。A級八段だし。
それが足りないって話なら八刀伐自身が自覚してそうだし。
それを今後も粘り強く探すぜ、ってことであれば綺麗に話が繋がるし、実際ストレートに読めばそのように書かれているので納得もできる。
八刀伐自身のキャラクター性も損われないので、メタ的な見方をすればそれが正解なのかな、とも思いました。
「最後の鍵」についてはラストシーンで珠代ということでネタバラシがあったし、「ああやはりここで繋がったか」という爽快感を味わえた。

そしてその後の珠代の告白シーンへの繋ぎが最高だった。
珠代、将棋では負けてしまったけどここでは勝てて良かったよ、ほんと・・・。
将棋の方だってまだまだこれからだろうし、珠代さんには今後もガンガン活躍してほしい。
ほんと、一気に15巻でファンになってしまった。

最後に。
感想戦の歩夢のアレ。
もはや本編。途中で書かれていた釈迦堂さんの結婚の話、布石になっていたとは。
歩夢が名人になった時、その師匠である釈迦堂もタイトルを保持していたいという描写があったと思うけど。
仮に歩夢がストレートで名人になった時、あいが勝っちゃったら釈迦堂は女流名跡を失っちゃうからな・・・。
あいの勝ち負けが歩夢と釈迦堂の関係に絶妙に絡み合ってくるの、今から16巻が楽しみすぎる。

供御飯万智さんの恋愛面での輝きがこれで最後にならないことを祈って、以上で感想を終わりにします。(不吉な言い方)
いや、ほんとに頼む・・・。

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