※重大なネタバレ含みますので、閲覧注意です※
前話 38話「針路」の感想記事は以下リンクからどうぞ。
目眩がする程の美しさを誇った前話、38話「針路」。
本日、39話「光の中にいる」の掲載号、電撃大王2019年4月号が発売されました。
そして今読み終わった訳ですが。
本誌勢の皆さん・・・生き残れていますか・・・?
私は死にました・・・・・・。
久しぶりの侑メイン回。
好きという気持ちを”見失っていた”侑。
槙の言葉で、”逃げていた”ことを強く自覚した侑。
あの見開きのページを開いた瞬間、心が張り裂けそうでした。
というわけで、以下感想です。
感想
光の中にいる
タイトルを見ただけで鳥肌が立ちましたが、本誌を見て言葉を失いました。
感極まるって、正にこういう事を言うんですね。
好きという気持ちが結局何だったのか分からない、分からないフリをしていた侑。
しかし槙からの言葉により、侑は自分が好きという気持ちから”逃げている”ことを嫌でも自覚せざるを得なくなります。
「つらい」、「悲しい」。
あれ程までに憧れていた、そして掴みかけていた光が、今の侑には余りにも遠い。
水面から反射した光が侑を照らすシーン、その目からこぼれ落ちる光は涙のようで・・・。
侑の有り余るほどの苦しさが痛いほどに伝わってきて、こちらの胸まで本当に苦しくなりました。
そして直後に燈子から届いた一通のメール。
すぐに会いに行くから
今の侑には、この一文だけで飛び上がるような衝撃が走ったんでしょうね・・・。
わたしだって羽根が生えたみたいにフワフワしちゃったりして
そんな期待
だけど
依然しっかり地面を踏みしめていて
かつての侑の悩み。
川岸の歩道を歩いていた時の侑は、しっかり地面を踏み締めていましたが。
燈子からのメールを受け取ったその瞬間。
まるで羽根が生えたかのように軽くなった足取り、そして若干地面から浮いているこの描写。
かつての悩みなんかが嘘だったかのように、”好き”を知った侑の姿が、圧倒的な情報量で描かれていて・・・。
燈子の元へ走る侑。
先程まで侑を後ろから照らしていた光は、今や侑を正面から真っ直ぐに照らしています。
光へ向かって走る侑のその表情が切なすぎて・・・。
このシーンで私は泣きました・・・。
目がくらむ 舌の奥がびりびりする 心臓の位置がわかる
余りにもエモすぎる三段活用・・・。(三段活用とは)
これについては言わずもがな。もはや光の中にいます。
これは体育倉庫でのキスシーンでしょうか。少し難しい。
溢れ出す言葉を抑えるのに精一杯という描写でしょうか。
体育倉庫でのキスシーン、あの時侑は自身の心臓の音を、燈子の音だと誤魔化していました。
しかし、今となっては。
はっきりと、自分の心臓の音だと認めています。
あの時は、”好き”という感情を認めてしまうわけにはいかなかった侑ですが。
今となっては、燈子のことが”好き”だと逃げずに告げることができる。
”好き”を持つに至った侑のこのセリフ。鳥肌が止まらない・・・。
槙の言葉
本当に良い仕事をしてくれました、槙くん。
侑にこの言葉を言ってあげられるのは、彼しかいませんからね。
「小糸さんはもうわかってる」
「逃げてるだけだよ」
そう告げられるのも、侑の本当の気持ちに気付いている槙くんだからこそ。
侑は違う世界にいると諭してあげる槙。
侑と槙を隔てるネットの描写が印象的でした。
侑はもうプレイする側にいる。
槙君はベンチに座り、侑がバッティングスペース(プレイする側)にいる、という演出がこれまた深い。
幸せな舞台がいいと願う槙。
そして侑の事を真摯な心で支え、応援し、必要な言葉を投げかけてあげた彼は光り輝いて見えました。
影
光が主題であったと同時に、39話は影の描写が非常に目立ちました。
「恋愛って自分じゃなくて ひとのものなんだってさ」
まだ逃げていた時の侑。
その表情には暗い影が差しています。
バッティングセンターの帰り道、槙と別れた後。
光が差す道を歩けず、侑は日陰を歩いています。
この時の侑はまだ光の差す世界に踏み込むことが出来ない、という暗喩でしょうか・・・。
そして光の差す方向を見つめると、かつて雨宿りしたベンチ、そして踏切が侑の目に入ります。
過去の燈子との思い出が光となり侑を照らしますが、侑の顔には影が差しているんですよね・・・。切ない・・・。
一緒に行ったechoも、今では扉の向こうの世界。
中には仲睦まじそうな二人の女性の姿。今の侑には遠い世界なのでしょう・・・。
あぁ、書いててつらくなってきた・・・(泣)
光
既に色々と書きましたが、39話の主題はやはり光でした。
今回、侑を照らす光の方向性が多種多様で、そのそれぞれが侑の心情を表していたように思えます。
印象的だったのは、川辺で侑が俯くシーン、そして侑が走り出すシーン。
好きが欲しい
逃げることをやめた瞬間、侑の周りに星のような模様が見えます。
この時点で、侑は”好き”という感情から逃げることをやめ、”好き”という気持ち、つまり光を持つに至ります。
38話の感想記事にも書いたのですが、燈子からも同様の星の模様が出ていました。
”好き”を持った侑、そして燈子。
憧れていた光を掴んだ二人を、かつて燈子が送ったプラネタリウムと重ねた描写のように思えます。
「七海先輩」
そう呟きながら、全身全霊で走り出す侑を描いたこのシーン。
このシーンでも、侑の足元には星のような模様が見られます。
最後のコマ、燈子からも星が出ているように見えて・・・。
あくまでも私の妄想であるんですが、様々な描写が余りにも心に刺さってきて・・・。
尊すぎてどうにかなってしまいそう・・・。
そして39話、今回の扉絵。
光の方向を見据える侑の姿が描かれています。
わたしには見えなかった。
どこにあるかも、わからなかった。
これ、過去形になってるんですよね。
今となっては、確かに光が見える。
それこそ、眩しすぎて、目がくらむほどに。
どこにあるのか分からなかった心臓の音。今となってはハッキリとその位置が分かる。
眩しそうに目を細める侑の姿が心を抉ってきました・・・。
発売1週間前のTwitter告知を見ただけで感極まりましたが、内容を見てから改めてこの扉絵を見返すと、感情爆発ですね。
hectopascal
すぐに会いに行くから
まさかのアニメ版EDテーマ、hectopascalの歌詞がここで登場。(“きっと”と”すぐに”が若干違いますが)
粋な演出すぎるだろぉおおお・・・!!!!
アニメEDの作詞をした時から、この展開は既に構成されていたのか、あるいはEDの歌詞にあわせて燈子のメッセージを仲谷さんが書いたのか。
どちらにせよ鳥肌モノです。
朱里と堂島
いやー、ここはまさかの発展。
堂島くん、攻め込みましたね。
この話はこの話として、幕間として是非とも描いてほしい!!
体育祭、そして朱里が失恋した時、堂島の姿が目立っていましたが、ここでその伏線が回収されることになるとは。
一方その話を聞いた時の侑ですが。
「それはいいことだよね」
と語る、この時の侑の表情が中々印象的。
羨望の気持ちがあるのでしょうね・・・。
補足情報として、やがて君になる公式コミックアンソロジーの、仲谷先生のスペシャルコメントページ。
朱里を見つめる堂島の姿があるんですよね。
仲谷先生、各所各所の仕込みが素晴らしすぎます。
最後に
一ヶ月待ちつらいな・・・
と思ったらまさかの二ヶ月待ちでした。(白目)
次回の「やがて君になる」掲載は、4月27日発売の6月号になるとのことです。
このラストから2ヶ月待ちっていうのは相当しんどいですね・・・。
4月27日は同時に7巻の発売日でもあります。
ひたすら39話までを読み返すことによって、”やがきみぢから”を鍛えて待っておくことにします・・・。
毎回毎回、激しく心が揺さぶられるんですよね。この作品。
こんなに毎月毎月最新号が楽しみなマンガ、人生で初めてです。ほんと。
侑が本当の涙を流す日も近そうですね・・・。
どうか、嬉し涙でありますように。
さて、それではまた二ヶ月後に。
こんばんは!いつもこっそり楽しく読ませて頂いていますが、やが君原作の記事だけは顔を出さねばという使命感がありますw
もうほんとにね…今回、あそこで終わって2ヶ月なんてご無体な…と悶えている最中です…しかも7巻があそこまでかよですよ!コミックでしか読んでいない人はしんでしまうでしょうね…w(電撃大王を買いましょうと大声で叫ぶ)
先月の終わり方と、直前に発表された扉絵から、もう少し侑はスネ続けるんじゃないかと思っていたのですが、槙君がわかりてすぎて、あれほど的確なパスをしてくれなかったら侑はいまだウジウジしてた気がします。七海先輩が修学旅行に行ってからの展開が、考えているよりずっと早いんですよ。本当に、いよいよ締めにかかってるなぁって実感します。
管理人さんのように細かく考察したりするのが得意ではないので、こちらの記事は本当に頷くことばかりでいつもありがとうございます。2ヶ月の辛さを、ほかの漫画の周回で紛らわせようと思いますw(ちなみに今の激推し他作品は「はにがれ」と「ひまわりさん」です)
ではでは、また!
仕立て屋リスさん
いつもコメントありがとうございます!
読み終わって最後のページを見て、そして2ヶ月待ちと分かった瞬間・・・。
ただでさせ本編を読んで精神がやられてしまっているのに、さらなる追撃に心が死にました(笑)
単行本派の人って、逆にメンタルが強いんだと思います。自分だったら6巻を読み終わった瞬間、間違いなく本誌に手を出してしまいます。(出しました)
あの誘惑には勝てない・・・。
本当に、最近の展開の早さには驚きますよね!こんなにトントン拍子に話が進んでいくとは!
今日なんかも、「最終回を迎えてしまったら本当に生きていく希望が無いぞ・・・」と想像して、恐怖の中に落ちていってました・・・。
ひまわりさん、持ってますよー!本屋さんの話ですよね!積んでるので、今度山から引っ張り出して読みます!笑
そしてはにがれは私も激推し作品の一つです・・・。
こちらも感想書いてますので、よかったら!(笑)
初めまして!いつも密かにブログを楽しく読ませてもらってます!
やが君を読んでから自分のこの気持ちを共感できる人が居ないものか探していたところ、同じように毎月ドキドキモヤモヤ焦らされているねこまたさんを発見して「私と同士がいる!!」と勝手に思っております。笑
やが君にハマりだした時期も、ハマってから全巻買ったけど続きが気になり過ぎて電撃大王を定期購読し始めちゃってるところも共感の一つです!
私も「舌の奥がびりびりする」という表現が麻痺か何かかなーという感じでよく分からないです。
ただ4巻の七夕の短冊を書くところで「奥の方につっかえてうまく言葉にならない 書けたとして 言えるわけないじゃんね」のところが浮かんできて、私の解釈では
今まで気持ちを抑えていたから舌の奥で言葉がつっかえていた
→「好き」を持っていると改めて自覚して、もう気持ちを抑えられない。
燈子のメッセージを見て、さらに気持ちは昂ぶる。
→舌の奥もびりびり麻痺して抑える力がないから、今までつっかえていた、でも燈子に言いたかった言葉が今なら言える。溢れてくる。
…みたいな感じなのかなぁと。変な考察ですいません(´-`)
「好きです」と伝える前、32話の最後らへんに侑の足がフワッと浮かぶ(走り出す)描写があったりするので、侑の中できちんと燈子への「好き」が育ってたんだなぁと思うと…その後に続くお話の数々で侑が苦しみ過ぎて胸が痛かったです。
毎話毎話私の予想とか想像を簡単に破ってくる仲谷先生の頭の中はどうなってんだ(尊敬の意)と思いつつ、ねこまたさんや、やが君ファンの方々と2ヶ月耐え抜いていきたいと思ってます(´ω`)
あんこさん
はじめまして!コメントありがとうございます!
同じタイミングで沼にハマったみたいですね笑
同士が見つかるのは本当に嬉しいです!
「舌の奥がびりびりする」の表現。
昨日今日と、また色々と考えを巡らせました。
短冊のところは、確かに私も「これは近しい」と思いました!
それに加えて、この表現は37話「灯す」での沙弥香の告白直前の心情と対比したアナロジーになっている事に気が付きました。
「呼び止めようとする声がかすれる 駆け寄ろうとする足がふるえる 手のひらが熱い 心臓がうずく」
今回の侑の気持ちと、とてもよく似た表現になっている気がします。
燈子を想うという気持ちにおいては、侑の気持ちも、沙弥香の気持ちも、優劣なんて付けられないものですからね…。
燈子がどちらを”選んだ”のか、という結果が付いてくるだけ。(まぁ、過程として色々ありましたが…)
そう考えると、沙弥香ファンの私はまた言いようのない葛藤を抱く事になるのです…泣
あと2ヶ月、頑張って一緒に耐え抜きましょう!
管理人さん、いつもありがとうございます。39話、本当によかったですね。侑の仕草のひとつひとつにしみじみと感動させて貰いました。
今回、もう一つ心が動かされたのは槙君が観客席から立ち上がって、彼にとっては役者であるはずの侑に心からのアドバイスを送り、背中を押したことです。この展開は多分みんな予想しないではなかったと思うのですが、槙君にとっては役者に直接関わるのはルール違反になるので踏み込まないのだろうな、と感じていたように思います(第7 話「役者じゃない」)でも、38話で橙子が心の中で呟いたように、みんな成長して変わっていくんですよね。「それでも幸せな舞台がいいなあ」と願う槙君の想い、胸に刺さりました。38話で沙弥香が燈子に手を差し伸べた様に、やが君は確かな友情の話でもあるんですよね。
ところで話は変わるんですけど、侑の舌の奥がぴりぴりしていたのはドライマウスのせいですかね?侑、息をして!つばを飲み込むんで!!(笑)
さて、つい先読み書店(笑)してしまうのですが、確か仲谷先生方は各巻の最後話に山が来るように構想を練ると言っていました。個人的には39話が7巻の最終話となると知り、この連載が続いてくれることが判ってほっとしているのですが、8巻の(そして恐らくはこの素晴らしい物語の)最終話が、もはや感動必至の次話第40話を超えるって、一体先生方はどんなエンディングを見せてくれるつもりなんでしょう・・・
また同じコメントにはなりますが、百合漫画の王道を描く、ということが何を描くことになるのか、楽しみに待ちたいと思います。
nenさん
いつもコメントありがとうございます!
槙君、今回の活躍ほんとうに素晴らしかったですよね…。観客席にいるはずなのに、まるでスポットライトが当たっているかのようでした。
果たして槙君が舞台に上がることがあるのか、と少し考えてしまうこともあるのですが、やがて君になるという作品はキャラクター個々人の役割分担が綺麗に分けられているので、客席から舞台への移動は尺的に足りないのかな…なんて思ってます。消去法的に考えると相手はこよみになる気がするのですが、こよみの役割は”憧れ”という部分があるので、相手が槙君だとこのロジックが破綻してしまう。
と考えると、やはり槙君には客席側からの活躍を祈るしかないですね笑
舞台は観客がいないと成り立たないものでもありますし。
槙君からのアドバイスは絶対にあると思っていましたが、nenさんの言う通りここまで踏み込むとは思っていませんでした。
想像を超えた感動を提供してくれる仲谷先生には本当にいつも驚かされますね。
侑の舌のびりびり、ドライマウスだったら逆に色々とびっくりですね笑
37話の対比になっていて、ここらへんの演出は「さすが仲谷先生、、、」と感嘆しました。
一度は燈子に伝えた言葉ですが、その気持ちに再度向き合った上で、もう一度飛び出そうとしている侑の気持ちが痛いほどに伝わってくる表現だなぁ、と色々と考え直した上で染み染みと感じましたね…。
40話が8巻のトップバッターになるため、8巻ラストまでどのような形で繋がっていくか。
これは本誌勢の方々は、みんなひたすら妄想しているのではないでしょうか、、、。
私も妄想が止まりません笑
ここからクライマックスにかけて盛り上がっていくにつれて、我々の精神はどれだけ削られていくのでしょう。
2019年はやがて君になるに心を持っていかれる一年になりそうですね…。
4/27に40話の連載とコミック7巻も発売ということは40話もコミックに入ってくるんでしょうか?
はーさん
コメントありがとうございます!
私も一読者に過ぎないので、あくまでもTwitterでの情報等を考慮した発言となりますが、7巻収録分は今回39話までになると思います。
7巻読み終わったところで、同時発売の本誌を買えば7巻の続きが読める!
という連載漫画によくある形ですね。
ソースとしては、以下仲谷先生のツイートがご参考になるかと。
https://twitter.com/nakataniii/status/1100664458685247488?s=21