※ネタバレ有り。閲覧注意です※
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 4巻 – しめさば
2020/8/1発売、最新刊の感想記事となります。
1,2,3巻の感想記事は以下リンクから。
なんてところで終わってしまったんだ、というところから1年半を経て遂に発売された4巻。
本当に待ち遠しかった・・・。
というわけで早速読み終わったので、いつもの如く感想の方を。
ストーリー
今までぼかされてきた沙優の過去について初めて詳細が明かされることになりましたね。
やはり、かなり重い過去を持っていた模様・・・。
あの3巻の終わりからどんな悲惨なことが起きてしまうだ、と不安になっていましたがお兄さんがとてもいい人だった、というのが何よりの救いでした。
やはり女子高生を家で匿っている、という事実だけはどうしようもないですからね・・・。
沙優が吉田のことを信頼しているということが分かったからか、吉田のおかげで沙優が変わったということが分かったからなのか。
まぁどちらかというと沙優の様子が明らかに変わっていたから(良い方向に)、というのが一颯が吉田を信頼する一番の理由だったのかなぁ。
しかしこれだけいいお兄さんがいても、実家に留まることだけは無理だったわけですよね・・・。
まぁあれだけ辛い出来事があって、母親からあんな態度を取られたら無理もない。
なんにせよ、兄は頼りになるということも分かったし、北海道に吉田も付いて行くという事にもなって。
ただ連れて帰られることに絶望していた3巻ラストでしたが、この4巻で光明が見えたなぁという気持ちです。
後は吉田と沙優がどれだけお互いに本心をさらけ出せるか、ってところが肝でしょうか。
沙優もそうだけど、吉田のほうが一番難しそうだよなぁ・・・。
もうほとんど親目線になってしまっているところがあるので、ここからどれだけ素直になれるのか。
ここから吉田が本心をさらけ出すところに持っていくのは相当に難しい気がするけど、果たしてしめさば先生はどのようなストーリーに持って行くんだろうか・・・。
結局後藤さんのほうに~、ってのはさすがにないと思っている。
キャラクター
ここからはキャラ別の感想。
4巻もみなさん素晴らしい活躍ぶりだった。(みんな聖人君子すぎる・・・)
吉田
我らが吉田さん。
沙優への気持ちには気付いているはずだけど、「何が正しいのか」と考えたら、その気持ちを認めるわけにはいかないってところなのでしょうか。冒頭の父親の言葉がありますし。
まぁ明確な恋愛感情というよりは、「側にいてほしい」という気持ちの方が大きいように感じますが・・・。
だとしても、吉田としては「側にいてほしい」というその感情ですら、沙優にぶつけることはできないんでしょうね。
「沙優が過去に向き合って笑顔になるまで」ということ以外に、自分自身の気持ちで沙優を家に置いておくことはできない、と。
「側にいてほしい」という気持ちが沙優の笑顔の理由になる、ということに彼が気付くのも、そう遠くない気がするな・・・。
吉田さん自身は気づいていない、あるいは気付かないようにしているけれど、周りの仲間たちは全員そのことに気付いていて後押ししている構図はなかなかに暖かいものがありました。
荻原沙優
家庭内でうまくいってないんだろうか、くらいに思ってましたが、まさか友達が目の前で・・・という重い過去。
それにしてもあの母親には母親なりの苦難があるんだろうけど、さすがに言っていいことの限度を振り切れてるよな・・・。
そりゃ平手打ちされるし娘も出て行くぞ・・・。
最終日になんで連絡つかなくなっちゃったの、ってところはありましたが後藤さんとの会話シーンや橋本との熱いシーンを描写するためには少し一波乱起こさなきゃいけなかったのかな、という感想。
理由が「会社を見たかった、一緒に帰りたかった」ってのが可愛かったので全て許してしまった。
これで「会社からは一緒に帰れなかったけど、北海道から一緒に帰った」なんてフラグ回収になったらオタクは喜びで発狂しちゃうよな???
そして4巻ラストにて。
後藤さんには「ご迷惑を・・・」みたいに気を使える沙優ですが、吉田が北海道に付いてくるって分かった時には素直に「ありがとう」と喜ぶ姿が印象的でした。
もうお互いに気を使うような間柄でもない、ってのもあるかもしれませんね。
後藤愛依梨
まさかの1ヶ月家出少女をやっていたという、衝撃の過去が明らかに。
え?女子高生は3年のうちに1回は家出するもんなの?初めて知ったぞ・・・?
毎回後藤さんには色々と驚かされる・・・。
そして挿絵が最高すぎた。(一番言いたかったこと)
この人も今回はいい働きをしてくれました。
なんだか達観していて、なかば諦めてるんじゃないだろうかとも思えてきた。
三島の進化系みたいな感じ。
三島柚葉
我らの三島ちゃん。
後藤さんと同じく、沙優の大事なアドバイザー。
3巻の失恋描写がとてもつらかったですが、自分の気持ちと、吉田と沙優の関係性は分けて考えるようにしたみたいですね。
自分の気持ちの整理の仕方がとても上手というか。
そんなところが、今回の昼休みの食事シーンに出ていた気がします。
そういえばこいつ、口に物が入った状態で話すクセ、なくなったな。
昼休み食事シーンの最後の一文。
吉田さんもなかなかに鋭い。
三島の成長や心の整理のつき方なんかが表れている、すごくいい一文だと思いました。
結城あさみ
後藤さんと三島はアドバイザーって感じだけど、あさみは沙優にとっての対等な立場の友達、って感覚。
まぁ歳も近いし。
4巻はひたすらに大人って感じだったなぁ。
むしろあさみが子どもに戻って瞬間って、沙優と星を見に行った時くらいな気もする。
あの時だけは全てをさらけ出していたというか・・・。
今回の別れ方も大人だったし、沙優が帰ってきたときにはこの子の悩みも解消されて欲しいなぁ・・・。
それを聞いてあげるのは沙優であってほしいとも思う。
橋本
今回大活躍。
よき相談役で頼りになる存在、ってところはあったけど4巻は今までで一番熱かった。
状況把握能力と行動力が凄すぎる。できる人だ・・・。
車の中でのお説教も吉田にはなかなかに響いたみたいですね。
北海道行きについては三島からの後押しもあったけど、橋本の言葉が遂に決定打になった模様。
いろんな人に後押しされて北海道に向かう二人、頑張ってほしいですね・・・。
最後に
いやーーー、1年半待つのは長かった。
でもちゃんと刊行されて本当によかった・・・。
全体的な構図としては、沙優との間に適切な距離感を保とうとして動かない吉田を「自分の気持ちに正直になれよ!」って後押しする仲間たちの図。
吉田さん、露骨に分かりやすいんだろうなぁ・・・。
今までの態度と明らかに違うって描写は沙優のところで多々描かれてましたが、吉田さんも明らかにそれ。
なんにせよ次巻から北海道編が始まるわけですが母親と吉田さん、どんな話をすることになるんだろうか。
警察沙汰とかそういうことには多分ならないとは思うけど。
作品的に、そうなる流れは全く本質ではないはず。
人の心とか、そういう部分が霞んでしまうし。
さて、次は5巻の発売を待つ作業が始まる。
5巻の発売よりもアニメ放映が先になったりするのかな?
今回の4巻発売延期の理由的に、5巻の原稿は出来上がっててもおかしくない気がするけど・・・。
ということで、また次巻の感想記事にて。
え!?後藤さん…処女じゃなかったんですか!?……超ショックなんですけど…