やがて君になる アニメ 第12話
いよいよ来週最終回。12話の感想と考察、書いていきたいと思います。
アニメ1話で原作1話分のストーリーとなっているのはアニメ第1話「わたしは星に届かない」以来です。
1話では届かなかった星が、12話ラストではもはや手中に収めてましたね。
ここらへんは12話のタイトル回収になってると思うので後述します。
アニメ12話の原作該当部分は原作4巻の22話「気が付けば息もできない」、そしてラストのこよみとの会話部分が原作5巻の23話「終着駅まで」でした。
原作22話のサブタイトルは”できない”でひらがなになってるんですが、アニメ12話だと”出来ない”なんですよね。
やがて君になる12話の感想記事書いてて気づいたけど、
アニメは「気が付けば息も出来ない」
原作は「気が付けば息もできない」
これも何かしらの演出だとしたら難易度が高いな・・・#やがて君になる #やが君12話見た pic.twitter.com/3roCawpNJU— サラリーマン黙示録@日本百合学会 (@nekomata_tokyo) 2018年12月23日
そして”脚本を変えよう”という思いから侑が走り出すエモーショナルなシーン。
23話の「終着駅まで」の一部分と、アニメオリジナル要素が入り混じった良いラストになってました。
それにしても、12話は細かな演出、侑から溢れ出る感情が詰まりまくった神回だった・・・。
燈子の残酷な言葉も含めて神回・・・。
一つ一つのシーンやカットに何かしらの意味が含まれているので、やが君見る時は本当に気が抜けないですね。
光の動き方一つにも意味があるんですから・・・。
というわけで12話の感想と考察、書いていきたいと思います。
Contents
前半、不満げな侑
OP前、明らかに悩んでいる燈子から悩みを打ち明けてもらえず、不満げな侑
花火の時、明らかに様子が違った二人。
その二人を見てまたもや不満げな侑。(不満げな侑が段々可愛く思えてきた・・・)
コンビニで不満げな・・・・・・・
とまぁこういった感じで、前半部は侑の不満げな表情が数多く見られました。
燈子に対する苛立ちと、沙弥香に対する嫉妬から来る不満ですね・・・
沙弥香からは「私がちゃんと見ておくから」と言われてしまうし。
侑と話しながら、沙弥香が一番最初にカゴに入れた緑茶のペットボトル。
強い・・・。沙弥香先輩強い・・・。
燈子の事なら私に任せておけという、侑に対する当てつけのメッセージですよこれ。(考え過ぎ?)
その後の「アイスでも買ってあげましょうか?」は先輩・後輩という話題繋がりからの、子ども扱いしているという挑発でもありますね。(笑)
死んでも言われたくない
劇の練習中思い出す、燈子の「死んでも言われたくない」というセリフ。
アニメ6話の、河原での名シーン回想ですね・・・。
「本当に、それでいいのかな・・・」
燈子を変えたい侑。
「あなたはあなたのままそこにいて」
劇中での沙弥香のセリフ。
まさにこれは、侑の心情そのもの・・・・・・
ちなみに体育館で練習するこのシーン、原作には無いアニメオリジナルのものです。
台本を書き直す前の劇の結末も、アニメでしか描かれてないんじゃないかな?
あと、声優さんって劇の時とそうじゃない時で演じ方使い分けててすごいなぁと思った。(小学生低学年並みの感想)
踏切
やがて君になる、頻出の踏切シーン。
この踏切シーンも、原作には無いアニメオリジナルのものでした。
13話の最終回に繋げるために、独特の演出を持ってきているんでしょうか。
・同じ踏切前ですが、アニメ2話の時は立ち止まらなかった二人
・アニメ12話の時には、踏切前で立ち止まった二人
画像を見ると分かりやすいのですが、
2話の時には燈子が先を行っています。
しかし12話では二人が対等な位置として横に並んでいます。
燈子と同じ位置に並ぶことが出来たということは・・・
燈子だけが知っていた感情。
「ずるい」と妬んでいた感情を、もう侑は持っている。持ってしまったんですよね。
そうでもなければ、こんな表情出来ないですよね・・・。
やがて君になる、アニメ版でお馴染みの光の表現。
侑にとって憧れだった”好き”という眩しい感情は、アニメの中で数多く”光”として表現されています。
今回の光は、やけに線形的でしたね。
いつも燈子の側から、侑へ向けられていた光。
しかし今回は侑の方向から燈子へ光が向かっています。
もう今は、一方通行の光ではなくなっています。
ピンポイントでココというわけじゃないですが、12話にとってはココがタイトル回収に相応しいシーン
一方的に光に憧れ、その光を眩しいと感じていた頃。
侑がまだ欲しかった感情を持っていない頃の、3話のタイトル「まだ大気圏」
そして憧れの感情を持つに至った今。
いつの間に大気圏を抜けたのか、「気が付けば息も出来ない」
原作を読んでいる時にも感じたのですが、序盤のサブタイトルがここに繋がっているとは。
何から何まで、本当に深い作品です。
気が付けば息も出来ないし、燈子の悩みも分からないし・・・
勢いよく燈子を家に誘う侑。
この子、序盤からホントに変わりましたね・・・。
ここまで繊細にキャラクターの感情を、たった12話の間に描いている作品、過去にあっただろうか・・・。
11話で燈子が不安に感じていた、侑への感情。
「甘えてしまいたい だけどどこまで許されるんだろう その優しさを使い尽くしてしまうのが怖い」
この不安があったからこそ、燈子が侑に悩みを打ち明けられなかったのだと思います。
侑の一言で燈子も決心が付いたのか、部屋へ行くことに・・・。
この時点で「おいおい12話神回すぎるだろ」って感じなのですが、ここから追撃のご褒美タイムが始まるのです。
燈子の残酷な一言
ご褒美タイムと言っておきながら見出しがアレですが・・・
今回のご褒美タイム、手放しで喜べるようなシーンではありませんでした。
宣言通り、侑に甘える燈子。
甘えるとは言っても、本当に甘えたいという意味で、本質的なところは身体的接触には無いわけで・・・
「みんなが見ていた姉の姿は、自分の知っている姉の姿とは違っていた」
「私が誰を目指したらいいのか分からない」
自分の目指す姿を見失ってしまった燈子。
その悩みを打ち明けられた侑。
「誰かにならなきゃ駄目ですか?」というセリフは、燈子に伝えたい侑の気持ちが簡潔に、けれど複雑に込められているとても深い一言。
燈子の顔に差していた西日が、少しずつ引いていきます。
・好きという感情そのものが眩しいものではなくなった
・自分を嫌いな燈子ではなく、自分を取り戻した燈子のことを好きになりたい
今の燈子から光が遠のいていった描写は、このような意味があるのではないかと。
「私は自分のこと嫌いだから」
「私の嫌いなものを好きって言う人のこと 好きになれないでしょ?」
「侑のこと好きでいたいの」
あまりにも残酷な一言・・・。
侑を縛り付けるには十分すぎる一言です。
言ってはいけない一言を言ってしまいそうになったのか、苦しそうに喉を震わせる侑・・・。
好きになってはいけない、好きと言ってはいけない・・・気が付けば息も出来なかった侑は、何も言うことが出来ず・・・。
見ていてこちらの息が止まりそうになるようなシーンでした。
ただのご褒美タイムとして見るには、あまりにも重すぎて深すぎる・・・。
大気圏じゃないと空気がないから言葉も発せないしね・・・つらいね、侑・・・。
それはそうとしてご褒美シーン
今回のご褒美シーンは、侑と燈子の感情が揺れ動く特に機微なシーンでもあったのでご褒美に集中しづらかったのですが・・・。
まぁそれはそれとしてやっぱりご褒美シーンの感想は書きたい。(欲望)
もはや侑からも顔を寄せていった、今回のキスシーン。
相変わらず瞼を閉じる瞬間の作画の丁寧さと作画枚数には見入るものがありますね・・・。
侑が持つアイスキャンディーから、雫がこぼれ落ちていきます。
こぼれ落ちる程に溢れてしまったのは侑の感情も同じはず。
この”こぼれ落ちる”描写、原作には無かったものです。
映像版だからこそ出来る表現があって、原作と合わせて二度以上に美味しいですね・・・。
ゾワッとするような囁き。
このアニメ、ここ一番というセリフでゾワッとするような声音入れてくるからな・・・。
鳥肌が立つほど素晴らしい。てか実際に鳥肌立った。なんなら今この文章書きながら鳥肌状態。
まったく冷たくねーよ!視聴者は激アツ状態なんだよ高田憂希さぁあああん!!!!
これで「好きにならないで」とかさぁ・・・
確信犯すぎるよね燈子先輩・・・・・・
あのさぁ・・・・・・
もう、ほんと、なんていうか。その。はぁ・・・・・・。
多くは語りません(得意技)
気が付けば僕も息が出来なかったみたい
そしてまたもや鳥肌事案。
ヘッドホンしながら聞いたらこれやばいな・・・。
このアニメ、映像も音声も素晴らしすぎやしないか・・・?
かき消された言葉
「じゃあ先輩だって わたしの■■■もののこと嫌いって言わないでよ」
侑が決して言葉にしてはいけない単語。
バカという一言でかき消されてしまったその言葉は何だったのか・・・。
まぁ、推測するのなんて野暮というものですね、このシーンは。
推測するにしてはあまりにも分かり易すぎるけれど、決して言葉にしてはいけない単語。
恋愛モノなのに■■と言ったらゲームオーバーという、矛盾を感じてしまうほどに複雑な二人の関係・・・。
あまりにも切なくて、そして苦しそうな侑の感情が溢れるような一言。
このセリフを発するシーン、圧巻の作画です。
2コマだけ抜粋しましたが、一言を発する間に目まぐるしいほど侑の表情が変化します。
是非ともコマ送りで、何度でも見たいシーンですね・・・。
あの人を変えたい
たとえ自分のわがままだとしても、
燈子に自分のことを嫌いじゃなくなってほしいと願う侑
その想いから、劇の結末を変えることを決意します。
原作では別日にこよみの家に訪れるのですが、アニメの尺の問題からか、思い立ってすぐに走り出した侑。
これはこれで、侑の想いが伝わってくる、物凄く良いシーンになっていると感じました。
侑が走っている瞬間は、思わず涙が出てきましたね・・・。
感情移入しすぎ問題・・・。
「あの主人公って、三つの自分の中にどれか一つ正解があると思っているでしょう?」
「過去を基準にして結末を導くんじゃ まるでこの劇の時間に 意味がなかったみたいだ…」
当たり前の事ですが、この劇の内容と、燈子の周りの環境は大きく被っています。
この劇の時間が指すものは、侑や生徒会の皆が燈子と過ごした時間と同一です。
自分たちが燈子と過ごした時間は燈子と共有したもの。姉と共有したものではない。
私達が好きなのは姉ではない。燈子なんだ。
そのことを侑は燈子に伝えるため、結末を変える決心をします。
それにしてもこよみって、そこはかとなく可愛いよね・・・。
中の人の演技も良くて非常に可愛い。
駄々こねる系の演技をずっと聞いていたい気持ちに襲われる。(謎の性癖)
扇風機
少し時系列が前後しますが、扇風機の描写が気になりました。
扇風機を回し始める燈子。
この扇風機、原作には出てきません。
そしてこよみの家に行き、劇の結末を変える決心をした後、部屋に戻ってきたシーンでは、扇風機は止まっています。
やがて君になるという物語は、燈子が侑に想いを寄せ始めたことで始まった物語。
燈子が描いていた物語は、姉としての姿で、侑は自分のことを好きにならない、というもの。
燈子が描いたこの物語を、侑は変える決心をしました。
燈子が回し始めた扇風機(物語)を、”変えたい”という決心の元に侑が止めたと考えられます。
こよみの家から戻ってきた時に扇風機は止まっていました。
”変えたい”という決心をしてから家を出たので、家を出る前に扇風機を止めたのでしょう。
そう考えると辻褄は合うけれど、果たして合っているのやら。
プラネタリウム
扇風機の件と話は似ていますが、こちらのプラネタリウムについても原作と違う描写がありました。
扇風機をつけた後、自分がプレゼントしたプラネタリウムが目に入る燈子。
プラネタリウムに手を伸ばそうとした燈子。
しかし侑が部屋に入ってきた(止めた)ことにより、その手は止まります。
12話ラスト、プラネタリウムを手に取る侑。
もう光が眩しいという事はなく、届かなかった星を手中に収めています。
そして、手を伸ばしていた燈子が触れられなかったプラネタリウムを、侑はその手に取っています。
これは燈子が目指していた(触れようとしていた)結末が変わるという暗喩だと思っています。
そしてその結末(プラネタリウム)を手に取る侑。
燈子が予想もしていなかった結末に、この物語は動き始めました。
12話終了
というところで12話が終了。
12話、今までの話の中でも群を抜いた感動がありました。
これで次が最終回と思うと寂しい気持ちがかなり大きいですが・・・。
初めは13話で収まるのかな、とかなり不安になっていましたが、毎話毎話余りにも素晴らしすぎる構成とストーリーを見せつけられて、全く不安がなくなりました。
アニメはアニメとして、間違いなく綺麗な終わり方をするはず・・・。
来週が来るのが待ち遠しいようで、来週が来たら来たで寂しい・・・。複雑。
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